パリにおける仕事・日常生活の忘れな草


by vwpolopolopolo
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

「国家の品格」再考

昨日は、風邪が悪化したため、職場を少し早引けしてアメリカンホスピタルというところに行きました。ここには大変有難いことに日本人医師がいらっしゃって、いつも適切に処置していただいています。パリに来てすぐの頃、今回と同じような風邪にかかり、職場に紹介してもらったフランス人医師に診てもらったところ、抗生物質を一切処置してくれず、いつまでたっても治らないので、この日本人医師のところに駆け込みました。ちなみにフランス人医師が処方したのは「熱さまし」だったのですが、「咳が止まらない」と言っているのに杜撰な処方箋を書いていたわけです。「熱さまし」と分かったのはこの日本人医師の方に教えてもらったからです。当然ですが、日本人医師の方に診てもらった後は咳はぴったり治りました。

昨晩から薬を飲んでいますので、少し楽になりましたが、今日はおとなしくしていようと、日本から送ってもらった「国家の品格」(藤原正彦)という本を読んでいました。日本で良く売れいてる模様の本です。

日本は「情緒と形の文明」を持つ稀有な民族で、欧米流の合理性・ロジックのみの論理に毒されるべきではない。合理性だけでは人間生活の周辺部分はすくいきれないが、日本人は長らく「もののあわれ」等を解しつつ武士道精神(弱い立場の人を思いやる惻隠の情というそうです)で以って対処してきた。市場主義の蔓延の中では一見無駄に見える(?)文学・数学等をきちんとベースに学ばなければ、今後、国としての底力は維持できない。世界が欧米的合理主義に傾いていく中、欧米のような「普通の国」となるべきでなく、(誤解を恐れず言えば)「異常な国」になるべきである・・・

内容はこのようなものだったかと思います。藤原氏が数学者であるため、やや自然科学信仰が前面に出ているとも思いましたが、参考にすべき点は多くあったと思います。

日本の平安文学が同時代の世界を見渡しても稀有であり、もっと日本について知悉しなければならないというのは全くその通りで、このあたりの勉強が抜けている気がする昨今、耳の痛い話でした。

武士道精神云々も日本人にとってはすんなり受け入れられます。

ただ「異常な国」というのには少し抵抗がありました。現状追認をすべきという気は毛頭ないのですが、例えば数年前ダボス会議で石原都知事が「米国に対してNOと言うべき」とぶち上げたことがあったそうですが、マスコミ含め他国から誰も相手にされなかったそうです。藤原氏は「たかが経済のためにグローバリゼーションを甘受して、日本の国民性が損なわれてはいけない」と指摘されていますが、世界でこれを声高に言っても石原都知事の二の舞でしかないような気がします。

欧米人には日本なりアジアなりに興味を持ち結構勉強している人がいる一方、いまだにアジアに足を踏み入れたことがないという人もいます。私の職場においてすらそうです。アジアに行ったこともない彼らに日本の価値観をとうとうと述べても煙たがられるだけの気がします。そこで日本人は少し大人になる、つまり私達はヨーロッパの文化・歴史を少なくともヨーロッパ人がアジアについて学ぶより深く知っていると思います。それは明治維新以来の欧米信仰の賜物でしょう。彼らに話を合わせる、もちろん藤原氏が言うような日本人としての心意気はお腹のなかにいつも持ってです。欧米人が日本について説明を求めてきたら喜んで話す。さもなければ取り立てて日本人気質をごり押ししないということなのかと思います。日本のことはしっかりバックグラウンドに持ちつつ、普段それをひけらかすことはないという、いわば「ダブル・ブラフ」が望ましい姿のような気がします。

また、欧米人に合わせているというのは英語が典型例と思います。ヨーロッパで普通の人は英語は勉強しても日本語を勉強して将来に生かそうと考えることは稀です。そもそも日本人なりアジア人は英語等でコミュニケーションという、一歩譲って(大人になって)彼らに合わせるということをやっているわけで、孤高を気取るのはあまり得策ではないように思われます。
[PR]
by vwpolopolopolo | 2006-02-04 18:30 | 日常生活